お手入れの豆知識 其の一 

其の一 カビって一体、何者?

 

 

久しぶりに取り出した着物に、なんか白いものがついてるな…とか、

黒いぽつぽつがあるな…なんていうこと、ありませんか?

それ、もしかしたら「カビ」かもしれません。

せっかく大事にしていた着物に、「カビ」が生えるなんて嫌ですよね。

今回は、「カビ」についてです。

「カビ」とは

 

 

一般的に菌類と呼ばれる微生物の一種で、育ち方は、植物と基本的に同じです。

1. 空気中の胞子が付着

2. 根を張り、発芽し、胞子を実らせる

3. 胞子が空気中に舞い、また別のところに付着

というサイクルを繰り返して、増殖していきます。

 

カビが発生する条件について

 

「カビ」は、水分(湿気)、温度(常温)、栄養(着物)、酸素(空気)等の条件が揃うと、発生します。特に水分(湿気)が多いと発生し易くなります。
カビは季節を問わず、どこにでも発生します。

●水分

梅雨ってなんだか「カビ」が生えやすいイメージありますよね。

「カビ」は、湿度70%以上の環境に生えやすいため、梅雨はカビやすいのです。

じゃあ、梅雨以外の季節は、そんなに気にしなくても大丈夫なんじゃない?って思いますが、それがそうでもないようです。

年中、浴室や洗面所は90%以上、クローゼットの中は70%以上の湿度があるそうです。

さらに、普段クローゼットを閉じている場合や、雨の日には、クローゼットの中は湿度90%以上。

浴室は想像できても、服を保管しているクローゼットがここまで湿気ているとは、びっくりですよね!

●温度

一般的に、「カビ」が生えやすい気温は20~30℃です。

そして、人間が過ごしやすいと感じる室内の気温が、だいたい22~24℃です。

「カビ」は人間と同じ気温を好んで増殖します。

●栄養

「カビ」は何にでもとりつき、その物質を分解し、栄養源にしています。

着物につく「カビ」が栄養源としているのは、「カビ」の大好物である糖分を含むもの。

革製品、ウール、シルクなどは、タンパク質で構成されています。そのため、着物はカビが生えやすいといえます。

 

着物につくカビは2種類

 

「カビ」の種類は、大きく分けて「白カビ」「色素系カビ」の2つあります。

●白カビ

白カビは、衣類に入り込む根まで白いため、見た目の上では除去することができます。

他の「カビ」に比べると軽度な「カビ」

悪化する前に、すぐに取り除くことが肝心です。

●色素系カビ

色がついた「カビ」には黒、赤、オレンジ、緑など様々なものがあります。

ただし、黒以外は基本的に着物には発生しません。

そして残念ですが、「黒カビ」が生えたら取り除くことは難しいと考えることが正解です。

「黒カビ」は、「白カビ」と違って根まで色づいているため、とても目立ちます。

色素を抜こうと思っても、漂白剤では白くなりません。

一般的によく生えるカビは、黒カビ(アスペルギルス)青カビ(ペニシリウム)です。

 

カビが着物に与えるダメージ

 

「カビ」は不衛生だから取り除くべき、と考える方が多いのではないでしょうか?

もちろんそれは間違っていません。

でも、「カビ」が与えるダメージは、私たちの身体にだけではないのです。

着物についた「カビ」は、繊維の中に根を食い込ませ、繊維や色素成分を分解します。

「カビ」が一度生えてしまうと、取り除いたとしても、生地が薄くなる(穴が開きやすくなる)、色が抜け、変色してしまうという恐れがあります。

シミや汚れは栄養源になります。

「カビ」のことを知って、できるだけ「カビ」が発生しないような環境を作り、防止すること(虫干し)早期に発見することが大切になります。

 

次回は虫干しについてです。

 

 

 

 

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