ききょう屋創業百周年によせて
有限会社京都ききょう屋
西別府 健二
今年で創業100年を迎える我社で、
私が知っておりますのは、ちょうど後半の50年くらいです。
創業者の祖父は私が幼稚園児の頃に亡くなりましたので、
仕事をする姿は覚えておりません。二代目の父親は、
私の覚えている限り生涯の殆んどが仕事をする姿でした。
祖父の代は反物の不上がりを直す作業であったのを、
父が着用した着物についたシミを取ったり、
着物をほどかずに丸洗いをするようになりました。
また始めて呉服関係の業者さんを通じて仕事を集め、
着物についたシミ取りについても、
いろいろな薬品や道具を使って、
さまざまなシミに対応できる方法を開発してまいりました。
そして兄と私の三代目になりまして、
着物の使われ方が日常の使用から特別な日に着る、
よそ行き物へと変化してゆくのを感じながら、
今は業者の方から仕事を受けるのが殆どですが、
これからは一般の方からも直接、
着物の汚れやシミ取りの依頼を受ける方法へ、
移行していく道を探っているところです。
日本人として和の伝統を守っていく仕事の中に、
少しでも加わっていけたら幸せだと思いながら仕事を続けております。